区民・事業者・練馬区等がともに地球温暖化防止をめざす

平成29年度 省エネルギー月間講演会 当日レポート

持続可能な社会に向けた私たちの暮らし方
~東京オリンピック・パラリンピックを契機として~

期日:平成30年2月4日(日)
時間:午前10時~正午
場所:練馬区立区民・産業プラザ 研修室1(Coconeri 3階)

概要


ねりねこ☆彡も来場者をエスコート

講演会全体の様子

 2020年には、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されます。開催に先立ち、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では、「持続可能性」と「レガシー」を主要テーマに掲げ、多岐にわたる専門分野の有識者と連携し、さまざまな準備を進めています。

 東京2020大会では、練馬区に位置する陸上自衛隊の朝霞駐屯地も射撃の会場になります。オリンピック・パラリンピック大会を盛り上げ、成功させるとともに、この東京2020大会を契機として、今後の暮らしや仕事、街づくりに、私たちがどのように参画していけばよいのかを考えることを目的として、2月の省エネルギー月間に、この講演会を開催しました。東京2020大会への関心が高い方が多く、93名の方に受講いただき、会場は満席となりました。

 第一部は、前公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 持可能性部長の田中丈夫氏に、「東京2020大会と持続可能性(サステナビリティ)」と題し、持続可能性の具体的な説明と、東京2020大会開催のために必要な物品やサービスを調達する「調達コード」の基準などについて説明していただきました。

 第二部は、ジャーナリスト・環境カウンセラーであり、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長の崎田裕子氏に、「持続可能な社会を実現する東京2020のレガシーと私たちの暮らし」と題し、ロンドン大会とリオ大会の調査経験から得られた情報を交えながら、東京2020大会に期待することについて説明していただきました。特に、都民として地域住民が主体的にかかわることの重要性についてもお話しいただきました。

 第三部では「質疑応答」を行い、参加者から寄せられた質問に対して、両講師から答えていただきました。

主催者あいさつ


横倉 尚 会長

ねり☆エコ 横倉 尚会長の挨拶

 本日は立春ですが、まだ寒いなか多くの方にお集まりいただき、ありがとうございます。

 2月9日から開催される平昌の冬季オリンピック・パラリンピックが終了すると、いよいよ2020年の東京大会へと向かうわけであります。東京2020大会では、日本の若いトップ選手が台頭して大いに活躍してくれることを期待しています。世界中からトップアスリートが集結して熱戦が繰り広げられることも、とても楽しみなことです。

 一方で、この東京2020大会に向けて、我々の生活全般も大きく変わっていきます。「持続可能性」について、地球全体、あるいは日本社会が、今のこのままの状態で子孫に伝えてよいのか、あらゆる分野で、懸念しなければならない問題がたくさんあります。世界全体が直面しているさまざまな「持続可能性」について考えていかなければなりません。

 東京2020大会の運営をどのようなコンセプトで行い、またその成果を東京2020大会以降どのように生かしていくのかということについては、なかなか伝わりにくい部分でありますが、今回のメインテーマです。

 世界中の選手たちの活躍とは別に、東京2020大会では、我々が地球全体に大きな影響を与える責任の一端を担っているということについて、エキスパートの先生方に講演していただきます。本日の講演を聞いて、東京のオリンピック・パラリンピック大会を2倍・3倍にも興味をもって迎えていただければと思います。

第一部 講演
「持続可能性に配慮した東京オリンピック・パラリンピックについて」


田中 丈夫 氏

講師:田中 丈夫(たなか たけお)氏
前 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 持続可能性部長

 本日は、オリンピック・パラリンピックにおける「持続可能性」(サステナビリティ)についてお話をさせていただきます。

 東京2020大会の概要です。2020年7月24日からオリンピック、8月25日からパラリンピックが開催される予定です。

 私は、リオデジャネイロ2016オリンピック競技大会を視察してきました。そこでは「オリンピック」と書いた看板などはほとんど見られず、「リオ2016」といった表現のものが多かったです。それというのも、「オリンピック」と書いてしまうと「パラリンピック」の時には替えなければなりません。そのまま使うことで廃棄物を減らす工夫だったと思います。

 東京2020大会では、単に2020年に東京で行われるスポーツの大会としてだけでなく、2020年以降も含め、日本や世界全体に対し、スポーツ以外も含めた様々な分野でポジティブなレガシーを残す大会として成功させるために「アクション&レガシー」プランが進められています。


資料1

資料2

 分野的に広がりをもたせるために、スポーツ・健康をはじめとして、文化・教育、経済・テクノロジー、そして、街づくり・持続可能性といった5つの柱ごとに、各ステークホルダーが一丸となって、計画当初の段階から包括的にアクションを進めていくこととしています。(資料1)

 次に、大会ビジョンのご説明です。「スポーツには、世界と未来を変える力がある」という言葉大きな意味があると考えております。組織委員会で持続可能性の仕事をしていると、スポーツの力によって、環境問題や人権問題などを改善することができるのではないかと、その可能性を感じています。(資料2)

 東京2020大会では、持続可能性の観点で、さまざまな物やサービスの調達をする基準についても考えていかなければなりません。そこで、まずオリンピックの規模についてご説明します。

 2010年に開催されたロンドン大会を例にとってご説明いたします。選手の総数は、おおよそオリンピックで10,000人、パラリンピックで4,000人ほど参加されています。競技数と種目数については、オリンピックで26競技302種目、パラリンピックで20競技503種目となっています。冬季大会では、より多くの若い人たちに関心をもっていただくため、競技数を増やすなどの戦略を国際オリンピック委員会(以下、IOCという)が立てていたようです。


資料3

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 次は、選手村のメインダイニングにおける食事提供数です。選手の方々が食べる食事数が120万食となっており、これは大会関係者など全体で1,500万食という膨大な量となります。(資料3)

 ロンドン大会に訪れた観客数は、ロンドン市民を除いて2,000万人となっています。日本では海外の訪日人数を4,000万人を目標としていますが、東京2020大会では、海外から多くの方が来られことになるでしょう。(資料4)

 スタッフ数については、ロンドン大会では最終的に6,000人でしたが、東京2020大会では多くのスタッフで運営することになると思います。現在の東京の組織委員会では1,000人を超えています。(資料5)

 最後に、ロンドン大会終了時までに生み出された経済取引の総額としては2.2兆円と報告されております。(資料6)

 続いて、「持続可能性」(サステナビリティ)の説明をさせていただきます。この言葉は、30年ほど前から認識されてきたもので、もともと環境問題と発展途上国の開発との両立を考えることから語られるようになりました。

 最近特に話題になったのは、2015年9月に国連持続可能な開発サミットが開催され、新たな「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げられたためです。それまでも、途上国の問題として持続可能な開発をしていく目標値がありましたが、先進国も含めた世界全体で持続可能な開発目標を設定しましょうとなりました。「持続可能性」というのは、自分の子供や孫、その先の将来世代のことを考えて、人権問題や労働問題など「環境」や「社会」のバランスを考えて行動しましょうというものです。(資料7)

 「持続可能な開発目標(SDGs)」には、スポーツがこの目標達成の重要なツールであることが明記されております。スポーツがより良い社会に変えていくことができるということが盛り込まれているのです。IOCのバッハ会長自らが国連でスピーチもされています。(資料8)

 そして、IOCの持続可能性の方針として、2014年12 月に「オリンピック・アジェンダ2020」が採択され 、その中で持続可能性の取り組みを重視する提言がなされております。このアジェンダ2020には、「オリンピック大会そのものを持続可能性のあるものにする」ということや、「IOCや組織委員会の活動も持続可能性に配慮した取り組みをする」といったことが打ち出されています。(資料9)

 また、オリンピック・パラリンピック大会は多くの方々の関心を呼ぶイベントですので、しっかりと持続可能性への配慮に取り組んでいかないといけないと考えております。(資料10)

 組織委員会が具体的にどんな持続可能性への取り組みをしているかを示すテーマとして、主に5つあります。「気候変動」、「資源管理」、「生物多様性等」、「人権・労働等」、「参加・協働等」です。昨年、この運営計画第一版として「方針」を定め、現在、第二版として、具体的な取り組みや目標値の設定を検討しています。

 例えば「気候変動」では、CO2排出量の適切な数値の把握を行っています。オリンピック・パラリンピックの期間中だけではなく、建物を建てるところから、大会期間中のエネルギー使用、海外から訪日する観客が利用するジェット機、大会終了後の廃棄物の処理などから、CO2がをどれだけ排出するかを把握することが重要です。(資料11)

 今年の1月末に組織委員会の有識者委員会の一つである脱炭素ワーキンググループから、東京2020大会で見込まれるCO2排出量が301万トンと報告されました。ロンドン大会では345万トン排出されていますので、44万トン少ない数値になっています。さらに会場計画の見直しで、新規会場から既設会場の利用にすると293万トンになると見込んでいます。

 東京2020大会が他の大会よりCO2の排出量が減っている大きな理由としては、1点目は、鉄道や地下鉄など新しい輸送のインフラを造らない。2点目は、リオやロンドン大会で造られたオリンピックパークを造らないということです。

 東京2020大会がオリンピック史上、CO2の排出量が最も少ないとなっていますが、今後さまざまな対策を講じることにより、さらに削減されていくと考えています。運営計画の第二版では、東京2020大会の対策実施後のCO2削減値になります。新聞など各種報道に出ますので、ぜひご覧ください。

 続いて、CO2排出回避ということでは、既設会場の利用のほかに、通常の自動車ではなく、燃料電池自動車や電気自動車を使用するなどの対策により、CO2の削減になります。建物は、CO2排出削減に適したものを利用することが考えられます。

 「資源管理」については、そもそも資材を購入するのではなく、レンタル・リース品を利用することにより廃棄物の量を減らします。

 「生物多様性等」については、東京都と連携しながら、対策を講じていきます。(資料12)

 「人権・労働等」への取り組みとしては、「アクセシビリティ・ガイドライン」というものを策定し、障がいのある方にどのように快適に使用していただけるかという配慮を行います。

 「参加・協働等」については、日本全国の方々に参加していただけるような取り組みを進めてまいります。

 これら現在策定を進めている運営計画を実現するためのツールとして、「持続可能性に配慮した調達コード」を策定しました。これは、さまざまな資材など、物を購入するときの基準や運用方法を定めたものです(資料13)。

 オリンピックなどのメガ・スポーツイベントでは、人権、労働問題が注目されています。

 例えばサッカーのワールドカップでは、過去に、サッカーボールなどのスポーツ用品の製造過程において、児童労働が問題になったことがありました。学校にも行けずに手縫いでボールを作っていました。原材料採取における環境汚染、森林の違法伐採なども問題視されていました。日本では、長時間労働や、外国人労働者に対する難しい問題もあります。これらを早期に解決し、人間らしく快適に仕事ができるように配慮した「調達コード」を設定しました。(資料14)

 「調達コード」を遵守することにより、環境問題だけでなく、人権・労働問題の防止、公正な事業慣行への推進等への考慮が実現でき、我々の社会的責任もきちんと果たすことができます。(資料15)

 「持続可能性に関する調達コード」には、法令遵守、環境面や人権面、労働面、経済面を考慮に入れた調達を実施するための基準や運用方法を定めています。(資料16)。

 また、先駆的な取り組みとして「通報受付窓口」を設置しております。これは、調達コードが守られていない場合や、調達の際に人権被害に遭われた方を救済するための仕組です。(資料17)

 調達の基準をさらに上乗せしたものとして、我々にとって重要な物品やサービスについては、個別の調達基準を設けております。

 最後に、「東京2020参画プログラム」と題して2つのプログラムが作成されました(資料18)。皆さんにも大いに積極的に参画していただけたら、オリンピックがますます楽しくなると思います。

当日の資料はこちら(PDF)

第二部 講演
「持続可能な社会を実現する東京2020のレガシーと私たちの暮らし」


崎田 裕子 氏

講師:崎田 裕子(さきた ゆうこ)氏
ジャーナリスト・環境カウンセラー

 第一部の田中講師は組織委員会の中で取り組んでこられましたが、私は外部専門家として組織委員会に関わり、持続可能性について取り組んでまいりました。皆さんと同じ市民の立場から、どのように2020年の東京オリンピック・パラリンピックに期待すればよいのかということを、2012年のロンドン大会と2016年のリオデジャネイロ大会の経験から考えていきたいと思います。

 私はオリンピックの専門家ではなく、“環境は大事だ”と思ってきた人間で、現在はジャーナリスト・環境カウンセラーとして取り組んでおります。今から25年ほど前、地球温暖化等の環境問題がたいへん話題となり、それ以降、気候変動やエネルギー、循環型社会づくりに関心をもってきました。今から3年ほど前、NPOの仲間たちとヨーロッパに環境政策の視察に行く計画を立てましたが、その頃、2020年のオリンピック・パラリンピックが東京に決まったと報道がされていました。それならば、環境や持続可能性に配慮されていたと評価の高いロンドン大会は参考になると思い、当時のキーパーソンの方々にインタビューしてまいりました。行って驚いたのは、オリンピック・パラリンピックを通じて、自分たちの住む街を変え、さまざまな社会システムを変えて自分たちの生活を豊かにしていこうと、多くの方が戦略的に取り組んでいたことです。

 そこで私も日本に戻り、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット(略称:元気ネット)のメンバー共著で『みんなで創るオリンピック・パラリンピック』(環境新聞社)を出版し、組織委員会、環境省、東京都にプレゼンテーションをしました。社会全体でオリンピック・パラリンピックを作り上げて大会後の社会にきちんとさまざまなレガシーを定着させようと提案しました。それならばというとことで、組織委員会の外部専門家として、街づくり持続可能性委員会や、持続可能性全体を考えるディスカッショングループ、資源管理についてじっくりと話し合うワーキンググループなどに参加させていただいています。

 もう1つ、新宿区立環境学習情報センターの指定管理者として多くの区民の方や事業者の方と連携しながら取り組む、新宿環境活動ネットというNPO法人も運営しております。また地域から得た実感を、しっかりと政策に盛り込むよう提案をしてほしいという声を受け、環境省の中央環境審議会や経済産業省の総合資源エネルギー調査会にて、環境やエネルギー政策の仕組みづくりの検討に参加しています。

 NPO元気ネットで「環境問題」に関するアンケートを実施したところ8割ほどの方が「関心あり」と答えてくださいました。もう1つ、電化製品等を購入する際、省エネ設計がされているかを調べて購入するか聞いた結果は、「そうしようと思っている」が50%に上るのに対し、「そうしている」と明確に答えた方は15%しかいませんでした。これが環境問題に関する最大の課題と思っております。


資料1

 いま、環境省の方々が「クール・チョイス」という国民運動を広げています。若い方のなかにも声が届くような発信をしなければということで、キャラクターの募集をかけた結果、「君野イマ」、「君野ミライ」ができ上がりました。ホームページを見ると、自宅の省エネをどうしたらよいかなど、ショートムービーになっていますので、ぜひ見てください。今こそ持続可能性について、みんなで考える時期に来ていると思います。(資料1)
【COOL CHOICE】「イマとミライが活動中

 このままCO2を出し続ける生活をした場合、今世紀末には気温が4.8℃ほど上がってしまいます。これを2℃ほどの上昇に、できれば1.5℃で抑えたいです。これは、全世界で地球温暖化に歯止めをかける取り組みをしなければできませんので「パリ協定」が制定されました。しかし、それをどのような形で行えばよいのかということが、なかなか見えてこないというのが実際のところであります。「持続可能性のある社会が大事」と言いながら、具体的になっていません。私はオリンピック・パラリンピックという、世界が協力し合って取り組む大イベントに真剣に取り組み、新しい社会システムを取り入れていくということが、いま期待されていることではないかと 思っています。

 例えば地球温暖化だけでなく、人口の膨張が問題となっており、現在、実際には76億人いるとされています。このままいくと2050年には98億人、2100年には112億人に上ると予測されています。

 その時に食料をみんなで共有できるのかという問題については、平和的な社会であれば160億人くらいまでは、みんなで分け合って暮らせるという専門家の意見もあります。しかし、それを超えたときには大変な事態になるであろうといった研究もされています。気候変動に伴い食料生産も変化します。人口爆発と食料問題は大きな課題ですし、多様な天然資源については、これまでと同じ仕組みで分け合えることはできないでしょう。

 そこで、持続可能な社会で、私たち全体が配慮し合いながら生きていくためのテーマを決めたのが、第一部でもお話しがありました「持続可能な開発の目標(SDGs)」で、17項目が考えられました。それを実践していけば環境、経済、社会が安定して持続可能に進んでいけるのではないかということです。国連の呼びかけに敏感に反応し、この問題に真剣に取り組んでいる場の一つがオリンピック・パラリンピックです。


資料2

 全体像のお話しをしてきましたが、具体的に見ていくと、日本の冬は今とても寒いです。地球温暖化というのは温度が上昇するだけではなく、気候が大きく変動します。これまで四季があったのに、季節が二つになってしまうのではないかといったことも考えられます。真夏日は、最高気温が30℃以上になる日のことですが、2100年の将来、真夏日は何日になるかという予想では、東日本の太平洋側では103日、現在46日ですから2倍。北日本の日本海側では48日、現在8日ですので6倍にもなるだろうといわれています。(資料2)

 こういった気温の変化が、オリンピック・パラリンピックにどう影響するのか、温度変化のなかで猛暑日が増えるとなれば、なぜ7月の最も暑い時期に開催するのかという質問もありました。しかし開催日は7月下旬から9月初旬にかけてと決まっているとのことです。

 そこで、熱中症対策等にも真剣に取り組まねばなりませんが、湿度との関係性も重要になってきます。マラソンコース等が決まれば、ミストをまく装置を準備する、道路も遮熱舗装にする、といったことを話し合ってもらうプロジェクトが必要なわけです。


資料3

 現実的に、この気温の変化に対応するプロジェクトが、各省庁も連携して進められているところです。パリ協定につきましては、日本は2030年までに2013年比で、温室効果ガス排出量をマイナス26%、2050年までにマイナス80%という目標を掲げていますが、だいぶ厳しいです。個人で努力するのはもちろんのこと、削減への取り組みが進むような社会システムを考え直すことがたいへん重要になっています。もちろん、社会システムを変えるためには個人の熱意や努力が不可欠ですが、社会全体の取り組みと考えるならば、オリンピック・パラリンピックはたいへん貴重な機会であろうと考えます。(資料3)

 2030年までにマイナス26%を達成するためには、家庭部門や事業者部門で2013年比マイナス40%を達成しなければなりません。というのは、1997年の京都議定書の約束期間にはあまり削減が達成できていなかったため、ここへきて大きな期待がかけられています。皆さんが公共交通機関を使うことや、家電の省エネルギーに気を配ることから一歩進んで、家を建てるときに資材を断熱性能のよいものを選ぶ、二重窓にする、あるいは再生可能エネルギーを取り入れるなど、根本的な取り組みが必要であり、今まさにそのような時期に来ていると認識していただければありがたいです。循環型社会づくりの基本的なところでは、物を大切にする、資源を大切に長く使うといったことが影響していくであろうと考えています。

 これらのことを踏まえ、オリンピック・パラリンピックの際には、どのようなことができるのかということについて考えていくために、例として、2012年のロンドン大会での取り組みについて詳しくご説明します。

 私がNPO元気ネット のメンバーと調査に行った時には、オリンピックの組織委員会はすでに解散していたので、民間で協力したキーパーソンの方々にじっくりとお話をうかがい、日本に持ち帰り、私たちが感じたことを本にまとめました。ロンドン大会でとても驚いたのは、オリンピック・パラリンピックという行事が、環境、持続可能性についてたいへん真面目に考えているという根本的な事実があるということでした。


資料4

 ロンドン大会の方が東京2020大会で予想される量よりもCO2の排出量が多いのですが、それは施設の再開発や公共交通機関を作った話がありました。ロンドンの街の東側に再開発できていなかった昔ながらの地帯があり、そこを再開発するということで、総面積7平方キロメートルもある土地に、選手村やオリンピックパークを作りました。オリンピックはスポーツ、文化に加えて環境を第三の柱にしていますが、ロンドン大会では環境だけでなく持続可能性、地球1個分の暮らしをテーマに取り組んだことが評価されました。IOCも課題を明確に認識して、2014年には、持続可能性を重視することを宣言しました。(資料4)

 ロンドン大会の競技場の再開発では、大きな観客席を取り外して維持管理に適度な大きさにし、地元のフットボール場にしたということです。再開発にあたり取り外した鉄骨などは、橋を作るときに資材として使うことが、最初から決まっていたそうです。東京2020大会でも調達を考えるとありましたが、最初から先々のことを考えることが大切です。

 水泳競技場の敷地には、ロンドンに昔から咲いている花がきれいに植えられていました。再開発で植物を植えるときは生物多様性に配慮して、もともとその地域にあった植物を植えること、これも最初から決められていて、しっかり取り組んだと聞きました。

 また、選手村には約17,000人が滞在したのですが、そこを作り直す際には2,800戸の賃貸住宅に改修し、30,000人が居住できる新しい都市に変貌させました。私たちが訪れたときには、だいぶ家族連れも住んでいて、公園や森に囲まれた素晴らしい環境が整っていました。そもそもロンドンの東側はこのような環境ではなかったので、新しい街づくりができたと現地であった方々は喜んでいらっしゃいました。

 オリンピック・パラリンピックが持続可能な社会を実現させる好機として、事業者と市民、NGOが連携して新しい社会システムを共創した成果を、「レガシー」として活用できていることを如実に感じました。

 食材についても、入手経路のしっかりした認証食材を取り扱う店が出てきたり、自転車通勤をする人も増加しているとのことです。オリンピック・パラリンピック開催時は交通機関が混んでしまい、自転車通勤をボリス市長が呼びかけたことから、市内を走るレンタル自転車はボリスバイクと呼ばれて人気が高まったそうです。これは自転車をどこへでも乗り捨てができることになっており、日本にも似たようなレンタル自転車の仕組みはあるのですが、隣の区とは仕組みが違うなど、まだ活用しにくい部分もあるようです。最近では、同一システムにするような取り組みをしているようですので、いずれは都内のレンタル自転車についても、拠点であれば、どこから乗っても、どこにでも返却可能になると思います。


資料5

 ロンドンでの視察を通して、私たちも東京2020大会を、次の社会づくりや街づくりを進める契機として考えていこうという思いが強くなりました(資料5)。

 オリンピックに向けてきちんとした取り組みができていると思えたのは、持続可能性に関する目標をしっかりと持っていたからです。組織が環境配慮に取り組む際には、環境ISO14000などの認証システムを導入して取り組むようにしていますが、ロンドン大会は持続可能なイベントマネジメントシステムというものを新しく作りました。最初は国内のシステムであったものが評価を得て、世界で大きなイベントを開催するときのマネジメントシステムとして、ISO20121ができました。東京オリンピッック・パラリンピックでも導入を目指しています。

 このように取り組めば、国内だけでなく世界にも同じ価値観で取り組んでいることをしっかりと伝えることができます。また、さまざまな基準を内部関係者に浸透させるためには、研修をしっかりと行うことが重要になってきます。そして、民間やNGO団体の方々と関わっていくような動きになっていくことが素晴らしいと感心して、日本に戻ってきました。


資料6

 ロンドン大会では、オリンピック・パラリンピック組織委員会をLOCOGと略称し「持続可能性計画」を立てました。「気候変動への対策」、「廃棄物の最小化」、「生物多様性」、「インクルージョン(社会的包括性)」これらはすべての国籍、言語、宗教や食習慣にかかわらず、また障がいの有無にかかわらず、みんなが自分が招かれ、一緒に作り上げているという実感を感じてもらえるような仕組みのことです。そして最後に「健康な生活」といった5つの項目作りました。(資料6)

 個別の計画としては、2013年までにオリンピックパークのCO2排出量を50%削減する。解体廃棄物の90%をリユース・リサイクルする。建設資材の20%はリユース・リサイクル資材を使う。建設資材の90%を埋め立て以外の方法で処分する。大会期間中に発生する廃棄物の 70%をリユース・リサイクルまたは堆肥化するといった目標を立てていました。日本でも東京2020大会においては、目標の大きな項目は作りましたが、何%にするかという具体的なことについては、話し合っている最中です。

 東京2020大会の資源管理についても、ごみゼロに向かうという宣言をしてはどうかという話をしています。ロンドンに倣い、日本でも「調達基準」を明確にしておりますが、ポイントは「どこで作ったか、誰が作ったか、何でできているのか、リユース・リサイクルは可能なのか、包装材は削減できているのか、また使用後の再利用・再使用の計画は立てているのか」といったことを、全ての物品、サービスの調達において考えていこう、ということになっています。

 食料の調達においても、地元産を使って輸送のCO2を削減する、持続可能な農業としてオーガニック野菜、季節の野菜、フェアトレード*の食材、栄養バランスに優れたメニューといった基準が盛り込まれています。イギリスでは必ずどこで生産され、どこから来た食材かの認証を受けなければならず、認証されたものについてはレッドトラクターマークがつくことになっており、最低限決まっておりました。他に、海のエコラベルの認証なども受けていることもプラスの基準となっていました。

*フェアトレード:発展途上国で作られた作物や製品を適正な価格で継続的に取引することによって、生産者の持続的な生活向上を支える仕組み。


資料7

資料8

資料9

資料10

資料11

 次に、廃棄物についてのデータを見ていきます。ロンドンでは、「リユース、リサイクル、コンポスト、エネルギー回収」といった循環政策を取っており、エネルギー回収をせずにそのまま廃棄物を埋め立てることはしないことで、廃棄物ゼロを達成したと聞いています。計算上は、観客1人につき850gのごみを出していることになり、私たち日本人1 人が1日に出すごみの平均量は939gということから考えると、イベント時に850gものごみが出るのは多いと思われます。イベントを運営するうえで、最初の投入資源を最小化し、リユース、リサイクルを徹底して、ごみを出さないようにすることが大事だと思います。(資料7)

 ロンドン大会終了後、8万人収容のメインスタジアムは2.5万人収容のサッカー場へと改修されました。解体した資材の3分の2は、大会のために一時的に建設されたもので、残り3分の1は小さく改造して活用したそうです。最初から、終了後の利用のことを考えた施設設備をしたと聞きました。運営にしても、準備のときの梱包材、運営時の廃棄物がどんどん出てきますので、そもそもごみを出さないということが最も重要だと思います。(資料8)

 「リサイクル、コンポスト、エネルギーリカバリー、埋め立て」という優先順位をつけることを目標に取り組み、ロンドン大会では資源とごみを3つに分別していました。ボックスの赤色は資源になるボトルなど、緑色は紙など、黒色はごみになるものに分けられていました(資料9)。日本では、いくつに分別するかはまだ決まっていないのですが、駅などでもすでに4、5分別できているので、しっかりと決めて世界に伝えていくべきだと思います。特にバックヤードでの整理分別の徹底が非常に重要になってきますので、東京2020大会では関係者20万人、ボランティア8万人と予想されている方々の研修の徹底といった仕組みづくりも欠かせません。(資料10)

 食品の廃棄物についても大問題となっていますが、ロンドンでは「オリンピックフードビジョン」というものを作り、きちんと調達し、その後社会にも定着しているそうです(資料11)。

 私たちが2014年にロンドンへ行ったとき、マクドナルドではフィレオフィッシュに海のエコマーク付きの食材を使用していました。オリンピック・パラリンピックを契機に調達基準が定着していったと聞いています。フェアトレード製品についても、かなり多く出回っています。日本はビジネスの仕組みの中で費用が組み込まれていないため価格が高いことなどもあり、先進国の中ではフェアトレード製品がとても少ない国となっています。2020年の大会が大きな変化のきっかけになれればと思っています。

 食品廃棄物をリサイクルして堆肥化しようとする動きは長く取り組まれてきていますが、その前に、まず食品廃棄物の発生を抑制しましょう。全世界で、食料生産の3分の1は廃棄物になっており、日本でも輸入を含めた食品供給量の3分の1はごみになっている状態です。まずは、食品ロス削減をしたうえで、食品廃棄物が出たらリサイクルして堆肥化することが大切です。ロンドン大会では、食品のリサイクルについては、徹底されましたが、食品ロスを出さないということに関しては、かなり話し合いはされていたものの、明確な効果は見られなかったとも聞いております。東京2020大会では、1歩でも前に進めることが大切と思います。


資料12

 ロンドン大会において、どのような食品ロスが生じていたのかを見てみますと、保管中の損傷が21%、食べ残しが34%、調理時のロスが45%となっています。調達後、保管時の食品ロスを減らす、そして調理時のロスを減らして、食べ残しも減らすといった取り組みが大事です。しかし、大変なのは、ベジタリアンの方もいますし、宗教上違う食材で調理しなければならないといった配慮事項が多いです。そもそもアスリートの方々は、自分の体調にぴったりと合った食事を摂ることが重要であり、それと食品ロス削減をどのように両立させるかが課題で、東京2020大会でも話し合われている最中です。(資料12)

 食品を調達する前、調理後のことを考えながら実際に調理し、選手や関係者に食べていただくにあたり、大盛・中盛・小盛などにしたらいいのではないかといった話し合いもされたようですが、ロンドン大会ではあまり徹底されなかったと聞いております。


資料13

資料14

 ロンドン大会を契機に、食品ロス削減について大きな関心を呼び、イギリスでは2015年に9業種が協定を結び、2025年までに食品ロスをなくそうという取り組みを始めている真っ最中です。レストランやテイクアウトのファストフード店、パブ、ホテル、レジャー施設、社員食堂、病院施設、教育施設、官公庁等で一大キャンペーンをしており、どのような成果を上げるのか注目されています。(資料13)

 このようにオリンピック・パラリンピックを通じて取り組んできたことが、ロンドンでの一般の暮らしに根付いてきています。大会後のスーパー等小売店ではオーガニック食品が並び、石油資源の使用を抑制するために紙容器が使用されるなど、人々の意識が高まったと聞いております。(資料14)

 これらの取り組みを受けて、私たちも東京2020大会に向けて取り組んでいることを、その後もどのように活用すべきかといったイメージを膨らませることができるかと思います。

 一昨年、2016年のリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックには、開催中にどのような環境対策がなされているかを確かめたくて実際に行ってきました。パラリンピックの開会式はとても感動的で、パラリンピックが成功することは、障がいや国籍などを超えて多くの方々と一緒に生活する社会の素晴らしさを世界中へ発信するためにも大切なことだと思います。


資料15

 建物については、後々の計画までよく考えて造ることも大切です。リオ大会の水泳会場には大きなプールが2つありましたが、大会後は選手の練習用プールと、地域の方々が使えるプールと別々に分けられました。木でできた真四角の建物がありましたが、大会後は解体され、木材を小学校4 校の建設に再利用されたと聞きました。会場の文字表記には「リオ2016」とあり、オリンピックともパラリンピックとも書かれていないので、取り外す必要がないよう工夫されていました。これらの工夫により、いかに廃棄物を抑制できるかということにもつながると思います。(資料15)


資料16

 資源と廃棄物の分別については、ロンドン大会が3分別であったのに対し、リオ大会では2分別で、リサイクルするものとごみになるものとの分類でした。ただし、街中の新しい建物には4分別のボックスが置いてあるところもありました。先進的な場所については4分別もあるけれども、世界中から選手や関係者、観客など多くの人が集まる会場では2分別と割り切り、徹底しているような印象をもちました。(資料16)

 開会式でコーラを頼んだらカップは、開会式の日付まで入っていました。リユースカップですが、記念品になり皆さん持ち帰っていました。競技会場ではそれぞれの競技のイラストが描かれたカップになっており、こちらも持ち帰っていました。東京2020大会でも、カップの使い捨てを減らすためにリユースカップを取り入れる提案をしているNGOもあります。東京都がモデル事業として採用していますので、どこかの会場でリユースカップが使われるかもしれません。日本ではマイボトルを使う人もいますが、重いボトルは、安全上競技場では持ち込み許可が下りないと思います。公式ショップでは水を入れられるような軽量のボトルを売っていました。


資料17

資料18

資料19

 観客に新鮮で清潔な水を提供することは熱中症対策としても重要事項とされていますので、ボトルを先に購入すれば役に立つことも多いと思います。(資料17)

 120万食も提供する選手村のレストランでは、安全衛生のため使い捨て食器が使用されていました。選手の皆さんには真夏の食事を安全に健康的に摂っていただかなくてはならないので、IOCの方から選手には使い捨て容器を利用するようにと決められていたとのことです。東京2020大会でも使い捨てを採用するならば、その後のリサイクルはしっかりできるよう徹底してほしいという具体的な検討をしています。(資料18)

 ボランティアの方が楽しそうに大勢参加していたのがリオでの印象で、このようなボランティアの皆さんに支えられてこそのオリンピック・パラリンピックだと思います。ボランティアの方々にも、持続可能性について伝えていくことが大切だと考えています。(資料19)

 現在、新宿区内の国立競技場や江東区内の選手村の開発などをしていますが、東京2020大会に関しては、東京全体をうまく使っていき、環境や持続可能性をしっかりと考えて取り組んでいけば、東京2020大会を契機にさまざまなプラスの視点ができるのではないかと思います。


資料20

資料21

資料22

 NPO元気ネット の方々とまとめた『みんなで創るオリンピック・パラリンピック』の本にも書いてありますが、いま東京オリンピック・パ ラリンピック競技大会組織委員会の方々が懸命に取り組んでいらっしゃいます。外部専門家の委員会だけでなく、社会全体としてしっかり応援をして、ボランティアの方々にも支えていただき、皆さんで新しいパートナーシップを重視した社会づくりができるように、オリンピック・パラリンピックがそのきっかけになればよいと思います。(資料20)

 東京オリンピック・パラリンピックにおけるアジェンダと、調達コードを再度お示しいたしますが、特に調達という具体的な取り組みの一番最初の段階できちんとルールを作ることにより、「温暖化対策」、「資源管理」、「生物多様性」など様々なことがつながっていくと思います。(資料21、22)

 温暖化対策の部分では、再生可能エネルギーを活用する、省エネルギーを徹底する、建物を作るときにも考えるなど総合的に脱炭素に向かうことが大事です。技術的な1つの象徴として選手や観客を輸送するバスや自動車で水素、燃料電池をきちんと活用するということで、現在、福島で創った再生可能エネルギーからCO2フリー水素を作ろうというムーブメントがあります。うまく活用して、水素を使う社会システムを作るというチャレンジも定着することを期待しています。


資料23

 資源管理の部分では、東京オリンピック・パラリンピックならではの壮大なプロジェクトとして、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」が進んでいます。これは携帯電話や小型家電の回収資源を金銀銅メダルに再生するというものです。社会が大切な資源もう一度使うということが、オリンピック・パラリンピックで体現されること、国民の皆さんがオリンピック・パラリンピックを応援するという、参加型オリンピックになることがうれしいです。(資料23)

 人権問題に詳しい方が、金の採掘のために児童労働が強いられる地域もあることを思えば、都市鉱山からメダルを作ることは、人権・労働の観点からも素晴らしい影響があるとおっしゃってくださいました。

 京都のマラソン大会の金メダルは、既に小型家電から回収した金属です。伝統ある寺社の改修などに必要な金についても、今後は小型家電などから回収した金属を活用したいと発表されました。この動きが全国に広がっていけば素晴らしいオリンピックのレガシーではないかと思います。

 「持続可能な社会」にするためには、さまざまな視点に立ち、これらを連携させながら取り組むことが大事ということを理解していただき、みんなで「持続可能な社会を作っていきたい」と思います。2020年、皆さんも参加できることには参加していただき、その後の持続可能な社会を一緒に作っていければと思います。

当日の資料はこちら(PDF)

第三部 質疑応答

Q:既存の競技場の電球を、全てLEDに交換するのでしょうか?

A:私は、全てLEDに変えてほしいと思います。現在、東京都では、白熱電球2個とLED電球1個を交換するという取り組みをされています。100万個を交換用に用意したのですが、15万個しか交換されていないそうです。まだ85万個残っていますので、ぜひ省エネを促進するような流れになってほしいと思っています。(崎田氏)

A:LEDに交換するということは、CO2削減を削減する省エネルギー対策です。一部の会場では、建物全体の省エネを評価します。環境負荷の少ない環境資材を使ったり、室内の快適性や景観への配慮ということにも取り組んでいます。(田中氏)

Q:壁面緑化は間に合いますか?

A:ぜひ間に合わせてほしいと思います。壁面緑化だけでなく、ミストの設置や遮熱性舗装道路の話なども含めた総合力だと思いますので、できることから、話し合いの中で迅速に決めていかなければと考えています。(崎田氏)

A:壁面緑化は、遮熱対策の一つと考えられると思いますが、遮熱性舗装道路などと含め、組織委員会と国、東京都と連携をして熱さ対策を検討しています。(田中氏)

Q:大会期間中は、街中の明かりを消しませんか?

A:オリンピック・パラリンピック組織委員会にいろいろな提案をする仕組みがあり、「レガシー&アクションプラン」の中に、同じような提案があったと思います。多くの提案がありますので、全てを実現させるのは難しいのですが、ライトダウンをしようという声をさらに挙げていただくと、実現につながる可能性はあると思います。私も積極的に発言していくよう努めます。(崎田氏)

Q:東京オリンピック・パラリンピックがその後の日本に与える影響は何ですか?

A:これまで「レガシー」という言葉でご説明させていただきました。オリンピックの開催により、良い影響を与えていくことです。ロンドン大会後にあったように、認証された商品が一般のご家庭でも手に取れるようになったことは大きな成果だったと思います。FSC*の紙をよくご覧になっているかと思いますが、水産物などではMSC*、養殖ではASC*といったように、認証商品を選んで手にすることができるようになるのは良いことだと思います。(田中氏)

*FSC:適切な森林管理が行われていることを認証する「森林管理の認証」と、森林管理の認証を受けた森林からの木材・木材製品であることを認証する「加工・流通過程の管理の認証」の2種類の認証制度です。
*MSC:海洋の自然環境や水産資源を守って獲られた水産物(シーフード)に与えられる認証制度です。
*ASC:養殖による水産物を、天然の水産物同様に認証する仕組みで養殖版海のエコラベルの認証制度です。

両講師からのコメント


講演終了後の様子

参加記念品

田中氏:今日はありがとうございました。私からお願いしたいことは、東京オリンピック・パラリンピックを皆さんと一緒に作り上げていきたいということです。

 皆さんからのご質問で、答えきれなかったことで、「持続可能な社会は費用対効果が大きいと思うけれど、どれを優先するのか」とありました。

 それに対しては、環境も人権も労働もすべて重要であり、優先順位はないと考えています。費用対効果という点では、オリンピックは非常に短い期間で行われるイベントですので、そこで費用対効果を得ようとするのはなかなか難しいものがあります。例えば環境対策のためにある設備を入れるとして、すぐに費用対効果が得られるわけではなく、ある程度、長期的に見ていく必要があると考えています。

 皆さん方と一緒に、オリンピック・パラリンピックを作って盛り上げていきたいと思いますので、重ねてよろしくお願いいたします。

崎田氏:今日はありがとうございました。皆さんから「練馬の野菜は使われるか」、「練馬区はどうしたらいいのか」と言った質問がありました。練馬がどうしたらよいかは、ぜひ皆さんで考えていただきたいです。

 練馬の野菜については、調達コードの部分で考えを示していますので、野菜を作っている事業者さんや組合の方に理解をしていただき、自分たちが自信をもって野菜を作っていることを人にも言える形にして、ルートの中に入って来てくだされば、使われます! 調達のルートに乗っていただけるよう、事業者の方々にぜひ取り組んでいただければありがたいです。また、朝霞駐屯地が射撃の会場になることから、この地にもたくさんの方がいらっしゃると思います。泊まる方々もいると思います。こういった方々が「快適に過ごせるように」といった気持ちをもってお迎えすることを、一緒に考えていただければありがたいと思います。

 実は2016年リオ大会でリオデジャネイロへ行ったとき、一部の街でとても治安が悪いと言われる地域がありました。しかし、それ以外の場所はとても素晴らしく、バスに乗ると若い人たちが親切に席を譲ってくれるなど、涙が出るほど素敵な出会いがありました。2020年にこのような出会いが全国であれば、本当に素晴らしいと思います。ぜひ皆さん自分たちができることは何か、一緒に東京オリンピック・パラリンピックを作っていただけたらうれしいです。このような機会をいただき、本当にありがとうございました。

 講演終了後には、アンケートにお答えいただいた方に、参加記念品としてLEDハイパワーマルチライトをプレゼントしました。

 ご参加いただいた皆さま、ご協力いただいた多くの関係各位に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。