地球温暖化防止月間講演会「海のひみつをさぐろう!〜いま起こっている変化〜」

概要

会場の入口

ジャムステック発行の
「海と地球のかべ新聞」

ペーパークラフト

「平成26年度こどもエコ・
コンクール」の入賞作品

ねりねこ☆彡によるお出迎え

 12月7日(日)、Coconeriホールにて、地球温暖化防止月間講演会を開催しました。昨年の「南極のひみつ」に続き、今年は「海のひみつ」をテーマに、ジャムステック(独立行政法人海洋研究開発機構)の川上創さんにご登場いただきました。

 川上さんは、15年にわたって海洋観測船「みらい」に乗り、気候変動に関わる観測研究に携わってきた研究者です。北海道北東部の海域をフィールドとし、30回以上もの研究航海をしてきました。そんな体験に基づく興味深い講演をいただきました。

 当日は、親子連れを中心に23組32名の方が参加。「海洋に興味があって来た」という小学生の声も聞かれ、海に対する関心の高さを感じました。

 会場内には、ジャムステック発行の「海と地球のかべ新聞」や、海の生き物や有人潜水調査船「しんかい6500」のペーパークラフトを展示。講演前後や休憩中、かべ新聞を熱心に読みふける参加者の姿がありました。ペーパークラフトも、年齢を問わず注目を集めました。チョウチンアンコウとマンタのペーパークラフトは、講演を聞いた方にも配布しました。

 また、「平成26年度こどもエコ・コンクール」の入賞作品が並べられ、参加者が足を止めて鑑賞。小学生部門、中学生部門の各最優秀賞作品の絵はがきも置かれ、会場を彩りました。

 講演会では恒例となった、ねりねこ☆彡によるお出迎えの時間は、かわいく手をふるねりねこ☆彡に、皆さん頬をゆるませていました。


主催者あいさつ

横倉 尚会長

 講演に先立ち、ねり☆エコの横倉 尚会長より、挨拶がありました。

「こう寒くなってくると地球温暖化がウソのようですが、暑い夏と厳しい寒さの冬が年々繰り返されながら温暖化は進んでいるということを、改めて実感できます。実際、IPCCの最新報告書でも、温暖化の進行が指摘されています。さらに海水温の上昇も、確実に観測されています。日本は海洋国家といわれ、海とは深い関係にありますが、海をめぐる問題は年々増えています。今回は、そんな海がテーマです。どのように調査観測が行われているか、お話を伺う機会ですので、ぜひ勉強してください」


第一部「海の中をしらべてみよう〜海洋観測船の話〜」

川上 創(はじめ)氏





 海洋観測船での生活や、調査方法をテーマに、臨場感たっぷりのお話となった第一部。川上さんたち自身が撮影された写真をたくさん紹介いただき、興味津々に見入る子どもたちの目が印象的でした。

 最初に紹介されたのは、大きな波が観測船に打ち付ける写真。波は最大で10メートルにもなるそうですが、「みらい」は大型の観測船のため、しのぐことができるそうです。とはいえ、船内はご飯茶碗が床に落ちるほどの大揺れ。船酔いしやすい川上さんにとっては厳しい時間のようでした。それでも、「10何年もやっていると、気持ち悪くても仕事ができるようになる」と、研究者魂を語っていました。

 テレビもインターネットもコンビニもない船上のお楽しみは…食べること。一流のコックが1日3回調理するメニューは、写真からも美味しさが伝わってきます。時には仲間とパーティーをしたり、太らないようジムで運動したりといった、意外な生活事情もご紹介。会場からは、驚きの声や笑い声があがる一幕もありました。

 いよいよ、調査内容の話に移ります。調査の1つとして「海水をとること」。特殊な容器でできた「採水器」を海に沈め、分析に必要な水や粒子を採取します。研究者というと、実験室にこもるイメージがありますが、「体力勝負」だという発言が驚きでした。

 調査の中では、珍しい生き物にも出会えると言って、写真を紹介してくれた川上さん。映画『エイリアン』のモデルになったオオタルマワシ。迷って船にたどりついたフクロウ。アシカやクジラ。伝書鳩を保護して、持ち主まで送ってあげたというエピソードまで飛び出しました。

 観測機器を海に沈める珍しい様子や、オオタルマワシは動画なども公開していただき、貴重な時間となりました。


第二部「海の変化について〜気候変動と海洋酸性化〜」



 第二部は、地球温暖化や気候変動が海にどのような影響を与えているか、データをもとにご説明いただきました。

 IPCC第5次報告書に採用されたジャムステックのデータによれば、「今のまま便利でハッピーな生活を続けると、100年で気温は最大4.8度、海面水位は82cmも上昇」との衝撃の結果に。逆に、「みんなが不便を我慢すれば、気温の上昇などが抑えられ、期待がもてる」という言葉に、ハッとさせられます。

 ジャムステックでは、世界中の機関と連携し、海洋深層の温度上昇も調べています。北極で冷やされた水が沈み、2000年もの長い時間をかけて日本近海へたどり着き、表面へ上がってまた戻っていく。このゆっくりした動きが、「海全体の温度を一定に保ち、私たちの環境を程よく保つ働きをしている」と川上さんは強調します。しかし近年、地球温暖化により、深海の温度にも影響が出ていることがわかったそうです。

 さらに、人間が出した二酸化炭素の多くが海に溶け、海が酸性化している現状も紹介。動物性プランクトンの殻が溶けるショッキングな写真とともに、二酸化炭素が海の生物に及ぼす影響が解説されました。

 ほかにも、桜の開花の早まりや紅葉の遅れなど、海とは違う目線でのデータを、独自に分析してくれた川上さん。「一人ひとりが心がけることで将来が変わる」というメッセージが、参加者の心をとらえていました。


質問コーナー

Q 1回の観測航海には何日くらいかけるのですか?

A 私の場合は、短い時は1週間、長くて1か月でした。長い人は3か月ですが、その時は、途中で港に船を着け、メンバーが交代します。そこで水と食料も積み込み直し、再度出発します。私は、平均1か月として、4〜5年は海の上に住んでいたことになりますね。

Q 観測中に変わった魚を捕獲したことは?

A 深海魚のチョウチンアンコウは、海から上った時は死んでしまうことが多いのですが、生きたまま捕獲しました。ちょっとした自慢です。

Q 温暖化が進むと、日本で食べられる魚の量や種類は変わりますか?

A 海面水温が上昇し回遊変化していることから、北日本でサンマが不漁になり、サバがとれるようになるかもしれません。実際、2012年10月、「サバ豊漁、北海道異変」という新聞報道がありました。

Q 海の酸性化が問題とのことですが、海は中性とアルカリ性、
  どちらがいいのですか?


A 正常な状態は弱アルカリ性です。最近では人間が出した二酸化炭素により、海の酸性化が少しずつ進んでいます。


講師コメント

 私はずっと研究畑にいましたが、今年から一般の方々にお話しする機会をいただくようになりました。興味を持ち、集まってくださる人がいることがうれしいです。また、本日の講演でも、関心がある人が多いことを実感できました。ねり☆エコさんが地球温暖化の問題を、楽しく広める努力をしていることも、感じられました。

 最後に講師の川上さんをはじめ、ご参加いただいた皆さま、関係各位に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。